アメード緑内障バルブ
緑内障手術で結膜に器具を埋め込む手術があります。
眼圧を逃がすアーメド緑内障バルブという名前の器具で、弁がついていて眼圧が下がり過ぎないように作られています。
血管新生緑内障に対してアーメド緑内障バルブを入れる前にあらかじめアバスチン硝子体注射をするとどうなるかを調べています。
Clinical Outcomes of Ahmed Glaucoma Valve Implantation With or Without Intravitreal Bevacizumab Pretreatment for Neovascular Glaucoma: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Zhou M1, Xu X, Zhang X, Sun X.
方法
メタ解析
眼圧下降、減らせた点眼の本数、有害事象も調べました。
結果
アバスチン投与群は非投与群よりも眼圧が3.3mmHg低かったです。ただし有意差はなかったです(p=0.152)
両群とも点眼を減らすことができました。経過観察修了時で0.28本減らせました。有意差はありませんでしたが、比較的減らせる傾向がありました(p=0.077)
アバスチン投与群は非投与群に比べて前房出血の発生頻度が有意に低かったです。
まとめ
血管新生緑内障に対してアーメド緑内障バルブを移植する時、あらかじめアバスチンを硝子体に投与しておくと、眼圧下降や点眼を減らすことに関しては有意な効果はないですが、前房出血は減らせるという結果でした。
アバスチンはVEGFという病気の勢いに関係する物質を減らします。今回の論文の内容は、アーメドはVEGFが減っても術後成績が有意に良くなるわけではないということなので、言い換えると病気の勢いとアーメドは無関係ということでしょうか。
血管新生緑内障に対する線維柱帯切除術の前にアバスチンを硝子体注射すると、術後成績がいいという報告があります。線維柱帯切除術は病気の勢いをまともに受けるということかもしれないです。
なので病気の勢いからの影響が少ないアーメドは優れていると思いますが、アーメドを入れるためには硝子体手術をしないといけないのと、結構大きな器具を結膜下に入れるので、それなりに技術が必要になります。
一方、線維柱帯切除術は器具を埋め込まなくてもできますし、術前に抗VEGF注射をしたり、網膜にレーザーをしてVEGFを減らした上で手術すればそれなりの成功率を保てます。術後管理は大変ですが。