黄斑円孔網膜剥離
網膜の中で一番大事な部分である黄斑部に穴が開いてしまい、そこから網膜剥離が起こった状態です。
網膜剥離の範囲
黄斑円孔の手術の中で一番難しいのが黄斑円孔網膜剥離の全剥離で、網膜が全部剥がれているので内境界膜剥離がやりづらいです。今回の症例は網膜剥離の範囲が狭かったので普通の黄斑円孔の手術のような感覚で手術を始めました。
強度近視でした
しかし、強度近視だったので網膜が薄く、後部ぶどう腫があるために黄斑周囲がお椀型に傾斜していて、膜を掴む時に斜めに掴まなくてはいけない場所があり普通よりもやりづらかったです。
内境界膜剥離
ただし今回の症例は内境界膜だけでなく黄斑前膜のような膜があり、その膜を剥がすと内境界膜も一緒に剥がれてくれたので一石二鳥でした。
内境界膜翻転法しませんでした
内境界膜を残して内境界膜翻転法で黄斑円孔の閉鎖率を上げようと考えていましたが、黄斑前膜と一緒に内境界膜も剥がれたので、結局内境界膜翻転法はやりませんでした。剥離の範囲が狭く、黄斑円孔もそれほど大きくなかったので、通常のやり方でも閉鎖しそうな感じでした。
縫合してガスを入れて終了
27Gという細い器具で手術しましたが、強度近視の場合は強膜が薄いので閉鎖が悪いことがあるので、縫合しました。最後はガスを入れて終了しました。
術後経過
翌日の診察では、黄斑円孔は閉鎖しているように見えました。ガスは100%入っていて、眼圧の上昇もなく、眼底はきれいな状態でした。剥離もちゃんとくっついていて経過良好でした。