The risk factors of posterior capsule rupture in phacoemulsification of cataract.
Zhang L1, Xu W, Yao K2.
後嚢破損
白内障手術で起こる後嚢破損の危険因子を調べています。
後ろ向き研究です。
2009年1月1日から12月31日までに行われた白内障手術3186眼について調べています。
結果
危険因子
男性(p<0.01)
術前視力0.1以下(HR=2.3,p=0.01)
白内障の程度が4度以上(p<0.01)
危険因子ではなかった項目
患者の年齢、手術した目の左右、眼圧、術後視力、糖尿病、緑内障、高血圧、硝子体手術の既往
まとめ
後嚢破損が起きやすいのは男性、術前視力0.1以下、白内障の程度が4度以上という結果でした。
白内障4度以上というのはかなり硬い白内障です。破嚢しやすいのは当然と言えます。
男性に多い理由はよくわかりません。男性は手術中に目がキョロキョロ動く方が多いです。また、破嚢していないのに後嚢の向こう側に水晶体の破片が入り込むことがありますが、これは男性に多いです。色々なことが関連していそうです。
術前視力が低いと破嚢しやすいというのはどういう事でしょうか。視力が低いということは白内障が進んでいるという事だけではないです。黄斑に変性や浮腫があったり、眼内に出血があったり、角膜が混濁していたりします。硝子体出血があると白内障手術が難しくなりますし、角膜が混濁しているともっと難しくなります。黄斑変性があると硝子体注射の治療をやっていたりしますが、硝子体注射の既往があると白内障手術で破嚢しやすいという報告があります。そういう色々なことが関連していそうです。