線維柱帯切除術は白目に袋を作ってそこに眼圧を逃がす手術です。その手術と白内障の関係を調べた報告です。
Arch Ophthalmol. 2012 Feb;130(2):165-70. doi: 10.1001/archophthalmol.2011.329. Epub 2011 Oct 10.
Cataract surgery after trabeculectomy: the effect on trabeculectomy function.
Husain R1, Liang S, Foster PJ, Gazzard G, Bunce C, Chew PT, Oen FT, Khaw PT, Seah SK, Aung T.
線維柱帯切除術後に白内障手術をすると眼圧が21mmHg以上になりやすくなるという内容です。
内容
線維柱帯切除術を1回受けたことのある235人の緑内障患者を対象としました。
その中で124人が白内障手術を受けました。
術後に眼圧が21mmHgを超えるかどうか比較しました。
結果
線維柱帯切除術から白内障手術を受けるまでの平均期間は21.7ヶ月(4.6〜81.9ヶ月)
眼圧が21mmHgを超えるまでの平均期間は61.4ヶ月
線維柱帯切除術の術前の眼圧が高いほど術後に眼圧が21mmHgを超えやすい(p=0.01)
線維柱帯切除術から白内障手術までの期が短いと、眼圧が21mmHgを超えるまでの期間も短い。
白内障手術を受けた患者は受けない患者と比較して眼圧が21mmHgを超える危険性が高く、白内障手術までの期間で分けると、6ヶ月では3.00倍、1年では1.73倍、2年では1.32倍でした。
まとめ
線維柱帯切除後に白内障手術をすると眼圧が21mmHgを超えやすくなり、白内障手術までの期間が短いほどその危険性が増えるという結果でした。
白内障手術をすると炎症が起こり、袋の内部にも炎症が波及するのが原因と思います。袋が新しいほど影響を受けやすいようです。線維柱帯切除術後に白内障手術をする場合、できれば1年程度はあけたいです。