最近季節的に花粉症の患者さんが多いです。
中には一年中アレルギー症状のある方もいます。
スギ、イネ、ヨモギ、ブタクサなどは真冬でも花粉が少量飛んでいます。ハウスダストアレルギーの可能性も考えられます。
アレルギーは悪いことばかりではないようです。
論文
アレルギーは加齢黄斑変性に対する防御因子である
Allergy is a protective factor against age-related macular degeneration
Invest Ophthalmol Vis Sci 2014, 55: 210-214.
ドイツの論文です。
内容
アレルギーは加齢黄斑変性(AMD)を抑制するという内容です。
アレルギーとは通常は無害な環境物質が病気を起こすというものです。具体的には喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどです。
原因となる抗原が免疫細胞を刺激して炎症反応を起こします。
対象
3585人のAMDの状態、喫煙、ステロイド使用、アレルギー歴を調査し、ロジスティック回帰分析で評価しました。
この論文では、AMDの前駆病変である色素上皮異常などをAMDとし、加齢黄斑変性(滲出型または萎縮型)と診断された場合を後期AMDとして検討されています。
全AMD患者864人(その内495人は後期AMD)とAMDではない1014人を比較しました。
結果
アレルギー陽性の人はアレルギー陰性の人に比べて
- AMDに0.52倍かかりやすい
- 後期AMDに0.32倍かかりやすい
という結果でした。
年齢、性別、喫煙、ステロイド使用を補正後も1倍以下でした。
- AMDは0.75倍
- 後期AMDは0.49倍
まとめ
アレルギーはAMD発症予防効果を持っているといえそうです。その仕組みはわかりませんが、AMD発症に免疫反応が関係している可能性があります。
寄生虫に感染するとアトピー性皮膚炎に罹り辛くなることが知られています。この話に似ている気がします。